Eさんご家族（夫40代、妻40代、長男、次男）
東京都豊島区 / 築1年 / 32.68㎡（リノベーション部分） / 総工費350万円
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新築の建売住宅を購入し、部分リノベーションをすることにしたEさんご夫婦。中古マンションを探していましたが、条件に合う物件に出会えませんでした。そんな時、立地や広さなどがピッタリの建売住宅に出会い、購入しました。
個性がなく画一的なのが、建売住宅の従来のイメージです。でも、この家は、フローリングがムク材、窓はペアガラス（二重になっていて、断熱性能が高い）で木製サッシになっているなど、建売住宅らしくない雰囲気です。このまま住んでもいいのですが、やはり住みにくい部分も。3階建ての2階のLDKを、自分たちの暮らしに合うようにリノベーションしたいと希望されました。
1階は水回りと個室、3階は寝室という間取りなので、LDKは家族が集まる場所。さらに、アフターコロナになったら、友人を招いてパーティーをする場所にもしたいそうです。
リノベーション前のLDKは、コンパクトなII型のキッチンが配置され、ダイニングにテーブルと椅子、リビングにテレビとソファを置くことを前提にしたような空間でした。でも、Eさんご夫婦はテレビや大きなソファはいらない、子どもたちが自由に遊べるようにしたい、効率よく家事をしたい、友人たちが来たときにリラックスできるようにしたいなど、自分たちらしいLDKのイメージがありました。
そこでEさんご夫婦の希望を整理してプランニングしたところ、30㎡ほどのLDKは、洗濯スペース、パントリー、キッチンカウンター、ダイニングテーブル、小上がり、リビングスペース、上下階をつなぐ階段と踊り場と、7個の役割を持つことに。それらの動線がスムーズになるように、LDKを横断するようにキッチン＆ダイニングテーブルを造作し、部屋に対してまっすぐではなく7度傾けて、空間の広さを調整したのです。
例えば、キッチンの作業スペースは、階段の踊り場を兼ねています。1階から上ってくる部分はお客様が使うので広めにし、反対に3階へ上る部分は家族しか使わないので狭めにして作業スペースを兼ねる。7度傾けることで、用途に合わせた空間の広さを生み出すことを可能にしました。
新築物件の部分リノベーションなので、既存のものをできるだけ生かし、手間やコストを抑える工夫もしています。シンクはリノベーション前後で同じ位置にする、ガスコンロ、レンジフード、食器洗浄機などは既存の設備を利用するなど、できるだけ元の家のものを壊さずに利用。ムク材を使ったフローリングや木製サッシなど、気に入っていた部分も残し、LDK全体で違和感のないインテリアにまとめました。
また、DIY好きの夫が、プロと一緒に本棚を手作りし、ダイニングテーブルと椅子の塗装を体験。楽しみながら家作りに参加し、さらにコストダウンができました。
条件に合う中古物件が見つからないときは、新築の物件をチェックするのも選択肢が広がる方法の一つです。都心の場合、中古物件よりも建売住宅のほうが低価格な場合もあります。必要な場所だけの部分リノベーションなら、コストを抑えつつ、自分たちらしい住まいを実現できます。
間取りとリノベーションの写真（写真をクリックすると、次々とご覧いただけます）
Eさんご家族に聞く
リノベーションQ＆A
Q１ 今回のリノベーションで一番大切にしたことはなんですか？
家事動線のよさと、効率的な収納、それぞれのスペースの使い勝手です。そして、空間の気持ちよさも大切にしました。
建売住宅のもともとの空間だと、家具の配置で無駄な空間ができてしまうのが気になっていました。また、家を見た時から一番気になっていたのが、キッチンやリビングの収納の少なさ。前に住んでいた家にあるものを見て、どう考えても入らないので、いったん申し込みを諦めたほど。それでも家の立地やその他の部分は気に入っていたので、「2階だけリノベーションすればどうにかなるかも」というのがリノベーションをする大きな理由でもありました。
Q２ リノベーションのプロセスで楽しかったことはありますか？
ブルースタジオさんのプレゼンで、キッチンとダイニングテーブルが斜めに傾いたプランが出てきました。想像もしていなかったものだったので、「すごい！」と一気にテンションが上がりました。
Q３ リノベーションの工事中や前後で、設計者に相談したことはありますか？
こんなことを相談しました。
・できるだけ元のものを活用すること。新築だったので捨てるのはもったいなく、なるべく使えるものを使いたいと伝えました。
・本棚や壁付きの棚をDIYでつけましたが、どんな木がいいか、どんな金具がいいかなどアドバイスをもらいました。
・小上がりにつながるベンチの長さは最後まで迷い、相談しました。
・元々ついていた天井のダウンライトの穴をふさぐために、すべて天井を張り替えるプランでしたが、コストダウンを相談し、穴だけを塞ぐプランに変えてもらいました。穴を隠すのではなく、その部分に鏡をつけてあえて目立つようにしたら、LDKが楽しい空間になりました。
構成・大橋史子
キッチンを7度傾けて個性的なLDKに。建売住宅を部分リノベーション〈250〉 - 朝日新聞デジタル
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