光熱費の高騰が続く中、普段の食卓でも節電、省エネの意識は欠かせない。調理や片付け、家電を使う際にちょっとした工夫を取り入れることで、コストの削減につながる。無理なく取り組める、キッチンの節電方法などを取材した。 （熊崎未奈）
資源エネルギー庁によると、夏の一日に家庭で使う電力量のうち、エアコン（３４・２％）に次いで大きいのが冷蔵庫（１７・８％）だ。
冷蔵庫の収納術に詳しい料理研究家島本美由紀さん（４８）は「少し使い方を見直せば、年間二千～三千円分の節電につながる」と助言する。
節電のため、収納量を７割以下に抑えた冷蔵庫（いずれも島本さん提供）
島本さんが提唱するのが「収納は七割以下」。食品を詰め込みすぎると、冷気が通りにくくなり、冷却の効率が悪くなる。エネ庁の試算によると、冷蔵庫に物を詰め込んだ場合と半分にした場合を比べると、年間約千三百六十円の節約になる。冷蔵庫の棚の一列のうち、半分から三分の一ほどを空けておくよう意識するといいという。
一方で、冷凍庫はなるべくいっぱいに詰めるのがポイント。冷気が逃げにくくなるからだ。冷凍食品をあまり使わない家庭の場合、水を入れたペットボトルを凍らせておくよう、島本さんはすすめる。災害時には保冷剤や飲料水としても活用できるからだ。
食品を立てて収納し、目いっぱい詰め込んだ冷凍庫
また、冷蔵庫の扉を開けている時間を短くするため、食品の場所や中身を分かりやすくしておくことも重要だ。開けている時間を一回当たり十秒短くすると、年間約百九十円の節約になるという。
島本さんがすすめるのは、作り置きの料理は透明の容器に入れる、調味料は入れる場所を決めておく、冷凍食品はなるべく立てて収納する、といった工夫だ。「見えやすく、取り出しやすくすることが大事。家族ともルールを共有して」と呼びかける。
さらに、冷蔵室内の設定温度も見直すといい。「強」から「中」にすると、エネ庁の試算では年間約千九百十円の節約になる。
◆調理ではレンジ活用
調理では、野菜を電子レンジで加熱してから使ったり、小さめにカットしたりすると、火が通りやすくなり、ガスの使用量が少なくて済む。また、そうめんなど麺類をゆでる際にはフライパンを活用すると、水量を少なくでき、沸騰までの時間も短くできる。島本さんは「加熱時間を短くできれば、キッチンが暑くなりにくいので、エアコンや扇風機の電気代節約にもつながる」と助言する。
◆エコクッキング 親子で実践を
環境に配慮した調理や片付け、買い物を実践する「エコクッキング」の考え方も、節電や省エネにつながる。名古屋市中区の東邦ガスクッキングサロン栄で七月下旬、親子向けの講座が開かれ、小中学生と保護者四十五人が学んだ。
この日のレシピは、鶏ささ身やキュウリ、トマトを使った「ごまだれそうめん」と「かぼちゃの蒸しパン」の二品。
まず、お湯を沸かす際には鍋底の水滴を拭いてから始める。ぬれていると、加熱する際の効率が悪くなり、ガスの無駄遣いになる。ささ身をゆでるときは、二分ほど火にかけて加熱した後、火を止め、十分ほどの「余熱調理」でガスの使用量を減らす。
そうめんのゆで汁は捨てずに再利用。蒸しパンを作る際にフライパンに張る水として使ったり、おけにためて洗い物で活用したりした。ゆで汁は、油汚れを吸着しやすいという。
そうめんのゆで汁を洗い物のために再利用する親子＝名古屋市中区で
片付けの際には、食器の汚れを古布などである程度拭き取ってから洗った。参加した小学三年生の小柳心平君（８つ）は「楽しくて、勉強になった」。母の桜さん（４０）は「普段も省エネは割と意識しているほうだけど、子どもに教えるいい機会になりました」と話した。
エコクッキングでは、ほかに買い物の際には必要な分量だけ購入する、野菜や果物の皮など食べられる部分は最大限利用する、パスタなどをゆでるときは具材も一緒に入れる、といった工夫を提唱する。
エコクッキングの普及に取り組む東邦ガスＣＳＲ環境部の小沢絢子さん（３９）は「できることから意識してみて」と呼びかける。
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