
自然豊かな絶景スポットで、本格的な料理を味わう「アウトドアダイニング」の旅はいかが――。バス会社の秋田中央トランスポート(秋田市)が、キッチンバスを導入して秋田に観光客を呼び込むプランを、ホテルエクセルキクスイ(秋田県にかほ市)とともに考案。旅行会社にツアーの企画を呼びかけている。
秋田中央トランスポートは、学校の送迎バスなどとして使っていた21人乗りボンネットバスを、キッチンバスに改造した。座席を取り外した部分に、ガスコンロやオーブン、流し台、冷蔵庫などを備え付け、厨房(ちゅうぼう)機能を充実させた。観光庁の補助金を活用している。
同社が見据えるのは、コロナ後の復活が期待される県外客の観光需要だ。具体的には、クルーズ旅行で寄港した富裕層らを仁賀保高原などに案内し、日本海に沈む夕日を眺めながら、秋田の食材を使った料理を楽しんでもらうプランなどを想定している。
バスとともに、野外レストランの舞台装置となるのは、透明なシートに覆われた組み立て式のドーム形テント(直径3・6メートル、高さ2・2メートル)だ。同社はこれを10基購入。内部にテーブルとイスを置き、快適な空間で客に食事を提供する。
両社は16日、ホテルの敷地にテントを張って料理提供の実証実験をおこない、多少の雨や風にも対応できることを確認した。
一般的な「アウトドアダイニング」は、厨房設備をレンタルし、眺望のよい場所まで運んで使う。この場合、電気工事だけで50万円以上かかり、客単価が高額になってしまうという。
そこで両社は、キッチンバスを利用して、コストの大幅圧縮を図ることを狙った。1月には旅行会社の担当者を招き、ドーム形テントでの食事会を開催。東京などの客を想定した旅行商品をつくるよう持ちかけた。
秋田中央トランスポート旅行センターの小野真センター長によると、県内は風光明媚(めいび)な観光地に恵まれているものの、空港や駅に着いてからの二次交通網が充実しておらず、地の利を生かしてこられなかったという。「その弱点を打開するための武器がキッチンバス。今後、シェフを招き、雄大な自然やお祭りを見ながら特別な食事をする少人数のプライベート旅行や、海辺や湖畔での結婚披露宴といった需要に応えたい」と話す。(佐藤仁彦)
キッチンバス活用、野外の眺望と食事楽しむ提案 - 朝日新聞デジタル
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