キッチンカーでの接客をアルバイトに――。外国にルーツがある高校生らを対象に、アルバイト先の提供を目指す神奈川県横須賀市に本部を置く日本語教室がある。背景には、言葉の問題などからアルバイト先の確保が難しい現状がある。実現に向けクラウドファンディング(CF)で資金を募っており、寄付を呼びかけている。【池田直】
企画するのは「トレボルNIHONGO教室」。2019年に横浜市で最初の日本語教室をオープンし、現在は県内に三つの教室を開設。ペルーや中国などの出身者を中心に、小学生から高校生までの計約60人が通い、学校の試験や入試に向けた日本語の学習を指導している。
キッチンカーの企画の背景には、トレボルに通う生徒の間で、とりわけ接客業でのアルバイトの採用のハードルが高いことがある。採用側が、生徒の日本語での意思疎通を不安視することが主な理由とみられる。
日系ペルー人で、横須賀市の定時制高校2年の島袋秀明さん(17)もそんな難しさに直面した一人。これまで複数のカフェなどの採用に応募したが、日本語能力検定の成績を条件に採用を断られたほか、面接を申し込んでも返信すらないこともあったという。
島袋さんは日本語での日常会話に大きな支障はなく、「面接すらしてもらえない理由が分からない」と肩を落とす。
トレボルには、キッチンカーでの接客を通じて、生徒に日本語能力を高めてもらう狙いもある。実際の社会で必要になる日本語は、教科書に沿って学ぶものとは異なる部分があるためだ。
企画を担当するトレボルの西涼光さん(36)は「キッチンカーを社会に出る前の一歩として良い場所にしたい。生徒たちがやりたいアルバイトをできる場を作りたい」と抱負を語る。
CFは3月から始めており、生徒からの手書きのお礼のメッセージや、キッチンカーで提供するメニューを一緒に考案できる権利などを「返礼品」として用意。目標額100万円のうち、4月5日時点で66万円ほどが集まった。
約7カ月前にペルーから来日したばかりの横須賀市の定時制高校1年、仲松サシャさん(16)はまだ日本語でのやり取りは難しいといい、「言葉の問題でアルバイトは難しいと思っていた」と話す。だがキッチンカーの企画を知り、「ここなら働ける。日本人と外国人が交流する場になってほしい」と期待する。
キッチンカーでは、ペルー料理など、日本ではあまり知られていない料理を中心に提供する予定。CFは「READYFOR」が運営するサイト(https://readyfor.jp/projects/Trebol_NIHONGO)で実施しており、期間は17日まで。
キッチンカーを「言葉の壁越え働ける場に」日本語教室が資金募る - 毎日新聞 - 毎日新聞
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