茨城県八千代町が、町内産の食材を使った料理を提供する「キッチンカー」を導入した。町内のイベント会場などに出向き、地元が誇る白菜や梨、メロンなどのおいしさを再認識してもらう狙い。ゆくゆくは町外や県外に「遠征」し、これらの農産物を返礼品にしているふるさと納税の寄付拡大にもつなげたい考えだ。(出来田敬司)
茶色をベースとした落ち着いた色合いの車体に、アルファベットのポップな字体で「IBARAKI YACHIYO」。メニュー表は大手コーヒーチェーン店風の、黒板に手描きしたようなデザインだ。
車両は昨年の東京五輪の際、競技会場周辺で使われていたものを買い取った。ガスこんろや蒸気式の加熱調理器などを備えた本格的な仕様で、九月の導入以降、町内で開かれた音楽祭などに数回出動。サツマイモを使った焼き菓子のブリュレや、イチゴをシャーベット状にしたスムージー、白菜をたっぷり入れたちゃんこ鍋など、さまざまなジャンルの食で来場者を楽しませてきた。
同町は白菜の生産量が全国の市町村でもトップクラス。梨やメロンの栽培も盛んだが、鈴木衛・産業建設部長は「(町内でも)一般的にはそれほど知られていない」と認める。キッチンカーの料理を通じて、町民に地元の野菜や果物に振り向いてほしい−というのが町の願いだ。
従来は規格外として廃棄していた農作物を無駄なく利用したいとの思いもある。ひょうで傷ついた梨を農家から安値で引き取り、飲み物として提供したことも。町は、食品ロスの削減や、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の取り組みにも通じるとしている。
キッチンカーの人気は上々だ。町が関わるイベントだけでなく、近隣の大型店や、八千代産の農産物を大量に仕入れる北海道のスーパーからも派遣の依頼があるという。町には、八千代ブランドが町外や県外に浸透すれば、ふるさと納税の寄付の増加も期待できるとそろばんをはじく。
鈴木部長は「二〇二一年度の全国の食料自給率はカロリーベースで40%に満たないが、八千代では100%を超す。町の農業の素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい」と意気込む。
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